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【ワイルド・ソウル】自分という人間の一部を形作っている小説

自分という人間の一部を形作っている、といっても過言ではない小説があります。

初めて読んだのは10年ほど前ですが、未だに折に触れて思い返します。

ワイルド・ソウル/ 垣根涼介(新潮文庫・幻冬舎)

【1961年、衛藤一家は希望を胸にアマゾンへ渡った。しかし、彼らがその大地に降りたった時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。戦後最大級の愚政<棄民政策>】

文庫本裏表紙より

戦後の日系移民を扱った小説です。

本書では、当時の外務省の政策によりアマゾンの奥地に入植した日系1世の視点から始まります。

この政策が実は「棄民政策」であり、そこで地獄が待っていようとはつゆ知らず…。

あとがきにもあるように史実に基づいた物語(フィクション)ですが、とても内容が重い。

それでいてからっともしている。

だけれど日系1世の悲壮な運命を思うと…。

主役級の登場人物にみな魅力があり、史実を基にしたエネルギーも相まって極上の小説になっています。

当時、通勤の途中にも読んでいたのですが落涙しそうになりました。

ありふれた表現ですが、言葉が持つ力に価値観を揺さぶられました。

自分だったらどうしただろう、どうすればよかったのだろう、結局は押し流されていたのかもしれない…。

こういう歴史があったのだ、ということをまず「知り」、自分の思考に落とし込んでいくことが大切だと実感した小説でもあります。

心に残り続ける言葉がある

未だに折に触れて思い返す、と先述しましたが劇中の名言・至言も多数あります。

その言葉は今も自分の価値観の一部を構成し、血となり肉となっています。

それくらい思い入れのある小説。

私の価値観を押し付けるつもりはありませんが、もし読書会に参加したら「是非、この小説を読んでほしい!」と推しまくること間違いありません。

個人的には、前半部分だけでも学校の国語の授業に取り入れてほしい

物語のあらすじをつらつらと書いても野暮なものです。

一度読み始めると頁を繰る手が止まらなくなること必至です。

なんでこの小説のことを記事にしようと思ったのか

新年ということで新たな目標を立てることも多いと思います。

「ワイルド・ソウル」は時代が変わっても通じるものがある小説だと胸を張って言えるからです。

原点回帰という意味も含め、新しいことを見据えつつ普遍的な「道理」も頭の片隅に置いていく

ふとこんな考えが浮かび、一気に記事を書いてみました。

是非一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

南米取材放浪記「ラティーノ・ラティーノ」も作者の価値観が現れていて、とても良いです。

では!